松本スターシャ: 着物と写真を通じて見つけた自由

着物スタイリスト、フォトグラファー、そして東京を拠点とするビジネス、inKIMONOの創始者松本スターシャ。彼女は、お客様の個性に合わせたユニークな着物ルックを創り出すだけでなく、あらゆるサイズ、形、スタイルの人々が、本当の自分を心地よく見せられるように、心尽くしていつも接しています。

今回はそんなスターシャさんに、起業までの道のりや、彼女にとっての自営業の意味、そして起業を目指す人へのアドバイスについてお話を伺いました。


── 本日はお時間をいただき、ありがとうございます。写真プロジェクトや着物ビジネスなど、スターシャさんは多くのことを経験されているようなので、その歩みをお話しできることをとても楽しみにしています。まだスターシャさんを知らない読者に、自己紹介をお願いしてもいいですか?

はい、もちろんです! スターシャです。ポーランド出身です。2012年から日本に住んでいるので、今年で10年になります。今は自分のビジネスを持っていて、着物のスタイリングと写真撮影をやっています。それぐらいかな(笑)

── 現在、ご自身のビジネスを展開されていますが、そのきっかけはどのようなものだったのでしょうか?若い頃からその予定がありましたでしょうか?いつか自分のビジネスを持ちたいという思いはすでにあったのでしょうか?

計画があり、アイデアがあり、実現したいビジョンがあり、それを達成するために努力しました。

そうでもないですよ。いつか自分のビジネスを持ちたいというところからスタートするのは、ちょっと難しいと思うんです。あまりそこまで考えていなかったです。特に、私の周りには自営業者がいなくて、みんなが会社勤めばかりしていました。だから、それが普通なことに思えたんです。私の場合、自営業への道は過程でした。要は、誰かのために働きたいとは思わないのは確かです。上司やマネージャーがいるのも、指図されるのも嫌です。意見の相違があるとしよう。例えば、私が「こうした方がいい」と思っていても、上司が「いやいや、あなたは何も知らないでしょう!そんなの無理だよ」と。そうなると、「ふーん、じゃ、見せてあげる」と思うんです。という感じです(笑)。

 以前、普通の会社で上司やマネージャーがいるところで働いていたときは、そんなことが何度もありました。だから、いつも「楽しくないな」と思っていたので、普通の会社で一番長くいたのは3年でした。それが私の最長経験です。でも、そこにも過程があって、そういう変化は簡単にできないんです。いろいろなことを準備する必要があるし、アイデアも必要です。あとは、人それぞれですよね。私の場合は、計画を立てるのが好きなんです。何事も計画的に進めたいんです。例えば、今年はこんなことをしたい、こんなふうにしよう、という計画があります。一歩ずつ。自然発生的なものは何もありません。これが私のやり方であり、そしてこうなったわけです。計画があり、アイデアがあり、実現したいビジョンがあり、それを達成するために努力しました。何年もかかったし、1つのことだけではありません。着物のビジネスだけではありませんし、写真だけでもありません。日本語を勉強して、流暢に話せるようになったりと、いろいろなことに努力しました。また、事務的な作業やつまらないことも重要です。ビジネスというのは、そういう退屈なことも含めてやる必要があるということを忘れないで欲しいです。そうね、さっきも言った通り、計画やビジョンを持っていました。

── どのようなビジョンをお持ちでしたか?

着物と写真を融合させたいという思いがあったので、こういうことをしたい、こういうふうにしたいと、いろいろなアイデアを書き出していました。そしてもちろん、いろいろなことが変化していきました。すべての仕組みがどうなっているのかを知る必要があったんです。でも、やってみないとわからないじゃないですか。だから、やりたいことがわかった時点で、フルタイムの仕事を辞めなければならないと確信したんです。そして自分のプロジェクトをフルタイムでやりたいから、当然、そのための適切な場所を確保することを考え始めたんです。もちろん、スタジオも必要だし、いろいろ考えました。長い道のりでしたが、こうして今に至っています。

── 素晴らしいですね。私たちの年代で自分のビジネスを持つ人は少ないと思いますから、責任重大ですね。 

はい!(笑)。とはいえ、私の年齢をご存じかどうかわかりませんが(笑)。32歳です。

── じゃ、やっぱりかなり同い年です(笑)

32歳って若くはないけど…老けてないかな?(笑)2018年末にフルタイムで自営業を始めたので、その頃は28歳でした。まあ、そう考えると、確かにかなり若かったですね。

── 自営業をやってみたいと決めたときは、どんな不安や希望がありましたか?また、振り返ってみて、どの希望や不安が叶い、どの希望や不安が予想と全く違う結果になったのでしょうか?

一番怖かったのは、ブッキングが取れずに頑張ったことが無駄になってしまうことです。仕事も辞めたし、リスクは大きかったですよね。だって、日本にいるためにはビザが必要なんですよ。だから、仕事を辞めて、セルフスポンサードビザかビジネスビザに切り替えたら、本当にストレスがたまるんです。だから、それが一番の恐怖でしたね。希望としては、自分のビジネスが成長すること、継続できること、フルタイムでできることを望んでいました。実は、いきなりフルタイムになったわけではないんです。自分の名前を広める必要があったんです。私は巨大なブランドでもないのですが、私のアイデアとやっていることを人々に知ってもらう必要がありました。だから、半年間くらい、休みの日に1日2回、撮影をしたんです。週5日働いて、2日休みがあって、その2日の休みに撮影を入れました。1日2回です。だから半年くらいは休みがなかったんですけど、何かを確立するためにはそういうのも必要ですよね。さっきも言ったように、いきなりフルタイムに飛び込んだわけではないんですが、ビジネスを持ちたいと思った時点で、一番恐れていたのは「続かない」ことでした。長く続けたいと願っただけです。今はうまくいっていると思うけど。順調にいっている(笑)。

── 自分でビジネスを確立したことは、とてもすごいことだと思います。着物についてもSNSに投稿されていて、まだ知らない人たちに着物について教えているわけですから、本当に貴重なことだと思います。

うん、面白いと思ってもらえたら嬉しいです、ありがたいです。

── また、思い返せば、スターシャさんの学歴が今までのキャリアにどう役立ったでしょうか?経験から自分で学ばなければならないことは何だったのでしょうか?起業するにしても、クリエイティブな仕事をするにしても、学校では教えてくれないようなことを自分で学ばなければならないことがたくさんあると思います。どうでしたか?

私の学歴って、大学ってこと?

── そうですね、大学とか、そして着物の着付けを勉強したときとか。全てです。

なるほど!大学進学となると、あまり関係ないですね。まぁ、関係があると関係がない、両方です。私はアジア太平洋学とアジア文化研究を専攻していて、そこでは日本に集中しました。例えば、日本の歴史や文化など、背景となる知識は多少なりとも持っています。でも、今の仕事をするためには、大学での勉強とはあまり関係がないんです。後は、着物の専門学校に通っていて、実は来月卒業するんですよ。もう5年目になるので、ようやく卒業します(笑)! そこで着物の着付けなど基本的なところから学びました。それから…レベルにもよりますが、私はプロの着物着付認可を持っているので、理論的なことは全部わかっています。織物の種類とか、細かい技術的なことを本当にたくさん勉強しました。蚕の一生、織物の違い、技法の違い、そういう知識があるからこそ、うまく説明できるんです。着物のスタイリングと写真撮影だけをやっているわけではないので、その点は今の仕事にとてもよくつながっています。簡単な説明もします。もちろん、詳しく説明することもできますが、そうすると何時間もかかってしまいます。着物について何時間でも話せます(笑)でも、撮影が終わると、お客様の知識が豊かになり、着物の仕組み、その日何を着ていたのか、どんな着物なのか、全てがわかるようになるのです。写真撮影に関しては、完全に独学なんです。完全に!だから、何の理論も持ってないです。正直なところです。よくわからないけど、私の物の見方なんです。ものを見て、いいなと思って、それだけです。写真に関する理論を学んだことはないので、すべて自分で学ぶ必要がありました。カメラの使い方も最初はそうでした。これも練習が必要でした。でも、一度覚えてしまえば、何をすればいいのかがよくわかるんです。他にも、編集など仕事で使うものもありますが…LightroomやPhotoshopの操作方法は、誰も教えてくれませんでした。自分で勉強しました。今でこそ、かなり上手になりましたが、本当に誰も教えてくれませんでした。要は、選ばない限りは学校でも習わない専攻ですし。写真を専攻するのであれば別ですが。でもね、そういう正式な教育を受けていなくても、自分はフォトグラファーを自称しています。それは問題ないと思います。

── すごいですね。学校で写真を教わっていなくて、写真関係の資格も持ってないわけで、フォトグラファーを名乗ることに抵抗がある方も多いと思います。

そうそう。私も昔はそうでした。

──  それはどのように変わりました?

自分は上手だとわかってるんですからね(笑)。自分で言うのもあれだけど…

── いえ、全然!素直です。

自分が上手であることは分かっている。編集も得意だし、写真も得意。そこには超高価な機材は必要ない。今使っている機材を最大限に活用する方法を知っている。そしてやっていることが楽しいし、好きだ。私の写真には特別なスタイルがある。着物を着た人のポートレート写真を見たら、私が撮ったものだとわかると思うんです。そして、これは私が実際に自分自身に望んでいたことなのです。でも、正直なところ、始めた頃は「写真関係の資格を証明する紙もないし…」という不安を感じました。着物の資格を証明する紙はありますけど……(笑)。でも、必ずしもそういうことは必要ではないんです。一番大事なのはスキルです。そして私は自分の写真スキルには自信があります。

── すごいですね。正直に言うのは大事なことなので、正直にそう言ってくれるのは嬉しいですね。

自分で言うのもあれだけど…

── そういうことを自分で言えるのは素敵です(笑)! そういえば、スターシャさんは今まで何をやっても成功したように見えますが、あきらめなければならないプロジェクトはありましたか?

やりたいことを全部やるには、時間が足りないというのがプロジェクトをあきらめなければならない要因です。やりたいことはたくさんありますし、たくさんのアイデアもあります。そこは時間がないのが一番の問題です。なぜなら、私はたった一人ですべてをこなしているので、どれだけ時間をかけて仕事をしているのか、誰も気づいてくれないものなのです。スタジオに来て、服を着せて、写真を撮って、それで終わりというわけではありません。それだけでも5〜6時間ですが、その前の準備に何時間もかかっています。そして、撮影のあとも何時間もかかります。私は一人なので、そこも本当に時間がかかるんです。だから、さっきおっしゃったタトゥー写真のプロジェクトのように、いろいろなプロジェクトがあるんです。続けられればいいのですが、まずは今やっているビジネスに集中しないといけません。そして、着物の仕事は私のブランドですからね。私しかいないので、会社とは言えませんが、私にとって最も大切なものです。でも、やりたいことはたくさんあるんですよ。個人的な写真プロジェクトとか。去年だったか、2020年だったか、新しいアイディアを思いついた。プラスサイズの着物ブランドを始めたい。しかし、時間が足りないというのが問題です。要は、本物のプラスサイズの着物を作るために和裁の学校、着物の専門学校に通ってました。それが目標でした。そしてその作り方を知っているのです。作り方も、デザインも、時間だけは足りないです。やりたいことはたくさんあるけれど、まずはその前に他のことをやらないといけません。

── すごいですね。プラスサイズの着物が存在しないかもしれないなんて、考えたこともなかったです。存在するのか、それとも数が少ないだけなのか?

プラスサイズの着物も存在しますが、大抵はスカートとトップスの2ピースです。あるいは、着物の生地ではなく、普通の生地で作られていることが多いですね。着物の生地は幅に制限がありますからね。それが嫌だったんです。あるいは、着物にも、ある場所が少し広くなっているタイプがあることもあります。でも、それも嫌だったんです。みんなと同じように、ちゃんとした形の着物が欲しかったんです。だから、2反の布を使いました。浴衣を作ったから浴衣用の布でしたが、どちらも作り方はとても似ています。

 あ、実はこれ、「教育が仕事にどう役立っているか」という質問で言いたかったことなんです!(笑)着物の専門学校に5年間通いましたが、様々な体型の人の練習は全くありません。マネキンが1体あるだけで、人間は全員同じサイズだと思われているんです。違うんです、人のサイズはそれぞれです!背の高い人、背が低い人、プラスサイズの人もいます。今までは、そういった様々なお客様がいらっしゃったので、自分でその技術を完成させなければならなかったのです。多くの着物のスタイリストは、「ああ、どうしたらいいんだろう」と困っていると思います。「この着物はちょっと小さいし、どうしたらいいんだろう?」って。それを解決できる方法があるんです。そういう着物の付け方を理解する必要があります。そして私はそれを練習して、理解したのです。本当にいろいろなことを考えなければならなかったし、考えたからこそ、わかったのです。でも、そういうことは教えてもらえないのは残念です。人はフリーサイズでも一律でなく、みんなそれぞれの体型です。だから、自分でやるしかなかったですね。それが実は私のサービスの長所なんです。お客様が背が高かったら焦らない。「どうしよう……」と不安にならない。大丈夫です、何でも解決できるから。大丈夫です(笑)。

── そう言っていただけると、本当にうれしいです。体型とサイズに関係なく着物を着れるのは、お客様に安心感を与えるものだと思います。

絶対に!はいはいはい。その通りです!お客様に「ああ、着物には大きすぎる」「着物には背が高すぎる」「腕が着物には長すぎる」なんていうことは絶対に言いません。人の体型についてコメントすることは、世間ではとても一般的ですが、私は大嫌いなので、絶対にやりません。私が望むのは、みんなが快適に過ごせるようにすること、これだけです。

── 日本でタトゥーの入ってる女性を紹介する写真プロジェクトでは、より多くのタトゥーをしている人を見せることができ、とても素晴らしいことだと思います。特に日本でタトゥーの入ってる女性はタブーですからね。体型も見た目も、人はそれぞれということを伝えるのは、本当に素晴らしいことだと思います。

ええ、私もそうですが、普通に生活していますよ(笑)。人は物事を大袈裟に考えたがるものです。ありのままのあなたでいいし、どうにかなる。みんなそれぞれだけど、同じようなものでもある。私は基本的にそうやって生きていこうと思っています。

── これまでのキャリアで、自分自身のブランドを構築するチャレンジ以外、苦労したことはありますか?

この答えについて考えてみました。私が今でも抱えている問題は、相手にされないことだと思うんです。何度も。写真術関係であれ、着物関係であれ、両方です。人にもよりますが、よくあることです。相手にされないことは世界で一番嫌いです。だって、ビジネスでやらなければならない書類作成がたくさんあります。事務所に出向いて、「これとこれを登録したいんです」と言うと、「えっ、あなたですか?着物?何言ってるんですか?あなた?あなたがあなたであるまま?」だと。そういうことはあったし、今でも起きている。だから、これが最大の難関かもしれません。

── 日本にいる外国人女性だからなのか、年齢なのか、相手にされない理由は何だと思いますか?

そのすべてだと思います。全部です。爆弾のようなものです。このミックスですからね。それを見た人たちは、「わあ、混乱した!」という感じです。この人とどう付き合えばいいんだろう、と思われます。みんながみんなそうなわけじゃないけど、結構あるんですよ。たまに普通に対応してくれる人がいますよ。でも時々、「わあ、びっくりした」ということもあります。「この人、この女性、この外国人、日本語で私に話しかけてきて、着物をやっていると言う。どういうこと?」と。そういう状況もありますね。

── その時はどのように対処していますか?

それはまた別の話なんです。私はとても誇り高い人間なので、そういう状況には対応できない。真面目に接してくれないと、無意味です。ぶっきらぼうな態度は問題ないです。日本では、話題を変えようとすると、結局は消極的になってしまうでしょ?いいように言っているつもりでも、心の中では「どういうこと?」みたいな。でも、私には「普通に話してください」と単刀直入に言ってるのも問題ないんです。これをやりに来たんだ、これをするためにここにいるんです。自分の立場をわきまえることが必要だと思います。特に一人でやっているならね。自分の立場をわきまえるのは重要です!

── 本当に重要なことですね。自分の境界線を守ること。

はい、その通りです。それはとても重要なことです。

── 今まで達成したことの中で誇りに思うことは何でしょうか?

この質問もよく聞かれますが、どう回答すればいいか困っています。というのも、一方ではもっとできることがあるのではないかと思うからです。だから、何かひとつを選ぶのは難しいです。たぶん、まだ何かを達成したとは思えないから。でも、アパートの一室から、自分の店、自分のスタジオを持つようになったことかな。文字通り自分のものです。自分の土地に建っているのですから。たった3年でその切り替えができるなんて……。それはとても大きなことだと思います。もっと自分を褒めてあげないとね。

── そうですね。特に、愚痴を言っている上司がいるのは嫌だとおっしゃっていましたが、今は自分だけのお店をお持ちですからね。

私が上司ですから、愚痴を言っているのも私です(笑)。いえいえ、私一人です(笑)。いつかスタッフを抱えることになるかもしれませんね。どうでしょう、それはその次かもしれませんね。

── 今、スターシャさんは自分自身の上司であり、将来はスタッフを採用するかもしれないとおっしゃっていましたが、例えばスタッフに編集の仕事を任せる予定なのか、それとも一人でやり続ける予定ですか?

非常に簡単な質問ですが、私だけでいたいです(笑)。自分がやっていることを、自分がやりたいようにやりたいんです。よくある話なんですが、「やりたいことがたくさんあるんです」と言うと、「じゃあ、編集を外注すればいいじゃないですか」と言われることが多いんです。いやいや、そんなことはない。絶対にダメです。他の人に任せることはできません。私が良いと思う方法でやらなければならない。自分で作業して、最終的な効果を確認し、「ああ、これでいい、これなら完璧だ」と思えるものでなければならないのです。今やっているやり方を続けたいとは思うのですが、それが不可能な場合もあります。例えば、昨年からブライダル撮影を始めました。ブライダル撮影はとても難しくて、一人でやるのは無理です。だから、アシスタントを雇うことにしたんです。でも、そのアシスタントはブライダル撮影のときだけ手伝ってくれるんです。それ以外は全部自分でやっていて、それが今のところ一番いいシステムです。自分の仕事には自分で責任を持つ。それが好きなんです。自分だけに責任を持っています。そうですね、私にとってはかなり明確なことです。

── 現在の夢は何ですか?今後数年の間に成し遂げたいと思うことはまだありますか?

自分のブランドをもっとよくしたい、もっと大きくしたい、もっと世間に知られたいと思っています。自分のブランドを知ってもらいたい。例えば、着物や「松本スターシャ」という名前を見て、「ああ、この人はフォトグラファーなんだ」と分かるように。「この人は着物スタイリストだ、この人の作品知ってる!」と思ってもらえるような。それを目指していきたいですね。常に改善の余地があり、より大きく、より良く、より多く、といったところでしょうか。今は着物全般をやっているので、他に何ができるかわかりませんが、振袖の帯締めをもっと練習するとか、何かできるかもしれませんね。着物の場合、終わりのない仕事ですから、それが近い将来の夢でしょうか。自分のブランドをもっと発信していくことですね。

自分のスキル、時間、今のレベルになるために勉強や練習に費やした時間を過小評価しないでください。

── もう今のままで満足してるみたいですね。これからもあまり変化しないまま順調に進んでいくだけですね。

そうですね、うまくいっているのであれば、何かを変えたりする必要はないということです。だって、うまくいっているんだから。だから、これからも自分の仕事を続けたいし、より良くなっていきたい。もっとやって、もっと大きくなって。それが私の計画です。

── かっこいいです!これからビジネスを始めたいと思っている人に何かアドバイスはありますか?例えば、思い返してみると、起業する前に知っておきたかったことは何ですか?

まず第一に、自分を過小評価しないことです。自分のスキル、時間、今のレベルになるために勉強や練習に費やした時間を過小評価しないでください。今のレベルを達成するため何年もかかっていたのですから。そして、最初のうちは、それらを考慮していなかった。先ほども言ったように、最初はフォトグラファーと名乗ることに抵抗があったんです。でも、すぐにそうなったわけではありません。何年も練習して、いろいろなことをやって、いろいろなことを見つけ出して、今では本当にいいポートレートと風景写真が撮れるレベルになっているんです。だから、最初からフォトグラファーと名乗ればよかったんです。そして、自分の時間や仕事、クオリティを過小評価し、自分のままでは十分ではない、もっと練習が必要だ、ダメだ、誰も気に入ってくれない、と思ってしまいました。でも、3年前の自分の作品を見てみると、明らかに今と3年前とでは違いがあるのですが、それでもいいんです。「完璧でなければならない!」という思いが常にあるんです。でも大丈夫です、あなたのままでいいんです!難しいかもしれないけど、最初のうちはそれを認めるのが私のアドバイスです。自分を過小評価しないことです。もし、「これをやりたい、フルタイムの仕事をやめて、これをフルタイムでやりたい」という考えがあるのなら、それを実現できると思うのなら、明らかにあなたにはそれをやるためのスキルを持っています。だから、絶対にそうしてください。

 そして、少しつまらないアドバイスですが、とても重要なことです。契約書を作成し、すべてを書き留めることです。たとえ細かくても、本当に小さなことでも、自分のビジネスを最初から守る必要があるのです。ビジネススクールに通っていないし、学校で習うようなことではありません。でも、ルールや境界線を持ち、それを書き記すことはとても重要です。お客様にあなたが何をしているのか、あなたの仕事が何なのかを理解してもらうことです。だから、契約書を作るのはとても大切なことなんです。それをお客様に読んでもらったり聞いてもらったりするのは大切です。クリエイティブな分野で働きたいと思っていて、アドバイスを探している人がいたら、それが私からのアドバイスです:契約書を持つことです。間違いなく。そしてもちろん、自分の仕事を過小評価しないことです(笑)。

── それは本当に本当に大切なことです。こんな素晴らしいアドバイス、ありがとうございます。多くの人に役に立つと思います!

そうであってほしい。私に誰かが言ってくれればよかったのですが、「契約書を作って。全て書いておいて!どれだけバカバカしいと思っても!」バカバカしいなんてことはない、書き留めなければならないのです。正直なところ、誰かに教えてほしかった。

── でも、それは経験からわかるものでしょう。考えてもみなかったことを経験して、「契約書に書いておけばよかった!」と思ったり。

はい、はい、はい。いろいろなものが出てきますが、最初に枠や基準を作って、どんどん広がっていくのはいいですね。

── 具体的な例はありますか?例えば、ある出来事で「契約書入れておけばよかった!」と思ったようなことは?

あります!とてもシンプルなものです。「私が撮った写真にinstagramのフィルターを付けない、他のフィルターや編集もしないこと」です。これは、私や他の写真家、ビジュアルクリエイティブな仕事をする人たちにとって、とても大切なことです。とてもシンプルなことかもしれませんが、書き留める必要があります。誰もそんなことはしないと思うでしょう?プロに編集された写真にフィルターを付けるわけないと思うでしょう?違います。絶対に誰かがやります。そして、「ああ、そうしないように言っておけばよかった」と思うことになる(笑)。これはほんの一例です。

── 私は写真家ではないですからこのようなことは考えもしませんでした。でも、すごく納得ができます。なぜなら、写真はアーティストのブランドであり、あなたはそれをあなたのやり方で表現したいのです。自分のイメージをコントロールしたいですよね。

その通りです。フィルターなどは作品を誤解させるものです。instagramのフィルターで編集された写真の下に自分の名前を入れたくありません。私が編集したものじゃないのに、他の人に「ああ、この人はこういう風に編集したんだ」と思われたくないんです。だから、とても大事なことなんです。クリエイティブな人なら、私の言っていることが本当に理解できると思います。でも、本質的には自分の作品を守ることなんです。

── 本当にかっこいいです。教えてくれてありがとうございます。最後にお聞きしたいのは、今していることの理由は何ですか?

まあ、非常に短い答えですが、「自由」です。これだけです。自由です。完全な自由です。クリエイティブな自由もあるし、仕事の時間やスケジュール、すべてにおいて自由です。そして、それは本当に最高の気分だよ(笑)。昨日も思ったんですが、例えば毎朝起きて、スーツを着て、電車に乗って、10時間机に向かっていなければならないとしたら、私にはできないことです。絶対に無理。そして、その必要もない。私は本当に自由で幸せです。

 というのも、やはり一人でやっていると、いろいろなことに気を配らなければならず、その多くは経理やスケジュール管理、整理整頓、掃除など。つまらないタスクは多いですが、それは自分のためにやっています。そして、それは私に自由を与えてくれるのです。それが私の理由です。これが、私が今やっていることをやる理由です。それが幸せなんだ。自分のしていることが好きだし、本当に楽しいんです。今やっていることが本当に幸せなんです。着物が好きだし、アクセサリーなどを選ぶのも好きだし、人に着せるのも好きだし、イメージチェンジするのも好きです。今日はこんな髪型にしよう、今日はこんな着物にしよう、みたいな。そして、そのコーデの写真を撮るのも好きです。自分のやっていることのすべてが楽しいです。だから、幸せは当たり前で、その次は自由なんです。

── 素晴らしいです。本当にありがとうございます。ポジティブにこのインタビューを終わります(笑)

嬉しいです。いつも全部が最高ってわけじゃないんだけど、ほとんど楽しいよ!

── 本当にありがとうございました。


文:マズリナ・オルガ
写真:松本スターシャ

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