mosh8:音楽とともに歩むグッズイラストレーター

いち音楽ファンからクリエイターへ―岩手県の音楽フェスで行われた演目台のデザインコンペで彼女の作品が選ばれたのをきっかけに、音楽イラストレーターの世界へと飛び込んだMOSH8のKozueさん。彼女のクリエイティブなデザインは、バンドやフェスのグッズになり、彼女が手がけたライブグッズは、HEY-SMITHや10-FEETなどのファンから愛されています。このインタビューでは、Kozueさんのイラストレーターとしてのキャリア、音楽やライブから得るインスピレーション、そして競争の激しいこの音楽業界におけるストレスとの向き合い方について語っていただきました!

ー まず最初に、少し自己紹介をお願いできますか?

盛岡市在住で活動しているMOSH8のKozueと申します。MOSH8は、15年くらい前に友人と始めた布雑貨のブランドだったんです。アメリカから取り寄せたUSAコットンでポーチやバッグを作って販売していました。お互い子供が生まれ、活動がだんだんできなくなり、今ではそのままブランド名のように名前を使用しています。今も気が向いた時は布雑貨を作ったりします。

ー イラストレーターになりたいと思うようになったキッカケは何でしたか?そして、イラストレーターになるために、どのようなステップを踏んできたのでしょうか?

KESENROCKFESめくり2017-2018

小さい頃から絵を描くことが好きで、小学校の頃はよくドラゴンボールやガンダムの絵を描いていました(笑)。でもイラストレーターになりたいと思ったことは一度もなかったです。きっかけは岩手で行われているKESEN ROCK FESTIVALというフェスです。そのフェスは落語でお馴染みの演目台(めくり)を使用していて、そのめくりを一般向けに募集していました。今から7~8年前、そのめくりに応募してみました。アーティスト名はMONOEYES。こちらに2年連続選んでいただいて、その時の喜びは今でも鮮明に覚えています(号泣でほぼライブを見れていません笑)。その時に、いつかアーティストグッズをデザインしたい!って思ったのが今に繋がるきっかけです。そこから結構絵を描くようになりました。
その後は、盛岡のライブハウスの黒沼さんに声をかけていただいて、Tシャツデザインを担当させていただいたり、徐々に活動が広まっていた感じです。

ー Kozueさんのイラストレーター名はMOSH8ですが、その由来について教えていただけますか?

特に大きな意味はないですが、昔からライブに行くことがすごく好きで、モッシュとかよくやっていたのでそこから取りました。8はビリヤードの8ボールからきています。

ー Kozueさんはバンドやフェスのグッズ等のイラストをデザインされていますが、プライベートで好きな音楽のジャンルや特に好きなアーティストはいますか?

好きなアーティストをあげると、LINKIN PARK, SUM41, coldplay, The Chemical Brothers, ELLEGARDEN, pay money to my pain, lostage, Nulbarich, その時の気分で聴く音楽も変わりますが、家でも車でも常に音楽がかかっています。

ー イラストを描く過程についてお聞きしたいのですが、アイデアはどのようにして生まれますか? 何か特定の環境など、創造性を発揮するために必要なものはありますか? そして、一つのイラストの完成までどれぐらいの時間が必要でしょうか?

初めてのTシャツデザイン(2021年)

やはり、ライブに行くと気分が上がるので浮かびます。ライブ中に浮かぶので、忘れちゃうこともありますが、なるべく終わったらすぐラフ画などをメモするようにしています。海外のアニメも好きです。スポンジボブやシンプソンズなどをよく観ます。色使いなどで影響を受けているかもしれません。あと、自分がイライラしている時は創作意欲が上がります笑 学生時代はいじめられていたので、そいつら見返してやるーってのは時々思います(笑)完成までは早い時はその日にできたり、2~3日ほどでできることもあります。もちろん、音楽を聴きながら描きます。

いしがきミュージックフェスティバルのタオルデザイン(2023年)

ー Kozueさんは、ご自身がデザインしたグッズを着たり愛用している人を見ると、どのように感じますか?

ライブやフェスに行って、目の前に自分がデザインしたグッズを着用している方を見るとやはり嬉しいですね。10-FEETはライブが始まるSEが流れると、お客さんがみんなタオルを掲げるのですが、そこに自分のデザインしたタオルがたくさんあると、泣きそうになります。。。心の中でありがとうございますって叫んでいます。

今までの10-FEETタオルデザイン


ー 今までで最もやりがいを感じたプロジェクトやデザインは何でしたか?

やはり10-FEETの干支Tシャツ(ウサギTシャツ)です。初めていただいたバンドのデザインのお仕事で、とてもワクワクした気持ちで制作しました。ありがたいことにとても反響もありました。たくさんDMも頂きましたし、フォロワーさんも増えました。
一度盛岡でイラストやグッズを販売する機会があり、そこで3分でロゴを描きますイベントをやりました。その場に、隣県の方も多数来ていただいて、感動しました。

明確に目標があれば叶うまでやり続けます。今やるべきことが見つかったら、全集中で取り組みます。

ー Kozueさんはすでに様々なアーティストやプロジェクトのグッズ制作を担当されてきましたが、今後コラボレーションしてみたいアーティストなどはいますか?

MONOEYESです。去年まではフェスへ行く時はボーカルの細美さんにいつでも渡せるように、MONOEYESのデザインを持ち歩いていました。持ち歩きすぎてボロボロになってきたので、作り直さないとなぁと思っているところです。

ー 今までのキャリアで一番苦労した時期はいつですか。そしてそれをどうやって乗り越えましたか?

キャリア的にはまだ3年なので、明確な苦労した時期は思い浮かばないのですが、大きい仕事をいただいた時に、その時の職場の人に心無い言葉をかけられた時は辛かったです。みんながみんな応援してくれるわけではないので、自分を強く持たないとダメですね。
元々、心が強い方ではないですが、イラストレーターになるずっと前に一度ストレスで倒れたことがあって。そこからは徐々にストレスの回避方法を身につけていきました。向き合ってダメなら逃げることも大事だと思うし、全てを手に入れようと思わなくていいというか、自分ができる範囲で生きていく。例えば、この人苦手だなーと思ったら無理に付き合わなくていいし、こういうジャンルの絵は描けないってなったら描かない。昔はそういうのが出来なく、苦しんでいたのかもしれません。なので今は片親ですけど、気楽に自由に仕事が出来て、ストレスなく過ごしています。

ー イラストレーターになる前に知っておきたかったことや、やっておけばよかったなということは何かありますか?

短大はデザイン系の学校でしたが、もっとちゃんと授業を受けていれば良かったなーとは思います(笑)。結局、大人になって勉強し直した形になってしまったので。その時にイラストレーターになるという明確な夢があれば、しっかり勉強していたかもしれません。でも、そこで人と同じにならない自分の個性を磨けました。結局悔いはないです。

ライブペイント(2022年)

ー Kozueさんご自身は、目標や夢を達成するためにどのようなプロセスを踏むことが大事だと考えていらっしゃいますか?

明確に目標があれば叶うまでやり続けます。今やるべきことが見つかったら、全集中で取り組みます。逆に何もしない息抜きも大事だと思うし、行き詰まったら、先輩や同じ業界の友人と話したりして心を整理します。
人とのつながりは大切だと思います。今の仕事が20代の頃にできた人脈から繋がっているものも多いです。20代の頃は年間100本に届きそうなくらいライブに行っていたので、たくさんのライブは見ました。飲みに誘われたら絶対断らないし、お酒が入ると打ち解けられるのです(笑)。

ー 夢と言えば、何か今の夢はありますか?

夢。。。今が一番楽しいというのが一番いいことだと思うので、常に目標は掲げていないですが、MONOEYESやELLEGARDENといった自分が好きなバンドのグッズデザインができたらいいなと思います。

ー 最後の質問ですが、現在クリエイティブにご活躍されている一番の理由は何だと思われますか?

繰り返しにはなってしまいますが、人とのつながりだと思います。20代の頃はラジオ局で働いていたので、たくさんのバンドと出会ったり、たくさんのスタッフさんとも知り合いました。仕事をやめて10年以上経つのに、その頃の友人とはまだ連絡を取りますし、お仕事もいただいたりします。連絡先が分からなくなってしまった知り合いもいるので、これを見ていましたらご連絡下さい(笑)。

あとは楽しいと思ったことには飛び込むこと。未経験のことでも、面白そうなお話をいただいたらやってみます。これできる?って聞かれて、出来なくても出来るって答え、そこから影で必死に勉強しています(笑)。とにかく今を一番楽しむってことが大事なんだと思います。

FIGHTBACK22 写真スポット

インタビュー・文:Mazlina Olga

kozueさんの詳細やSNSについては、以下のサイトをご覧ください:
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